ソフトウェアのアップデートは資産計上?
Q.マイナンバー対応のため、ソフトウエアのアップデートとパソコンを購入しました。これらにかかった費用は、損金算入できますか。それとも資産計上しなければいけませんか。
A. 平成28年1月より社会保障関係の手続きや税務関係の手続きにおいて、マイナンバーが利用されることとなりました。これに伴い、マイナンバーを収集した事業者は、いわゆるマイナンバー法に基づき、安全管理措置等を講じる必要があります。その対応のために支出した金額の取り扱いについて確認します。
■1.ソフトウエアのアップデートをした場合
例えば、今まで使用していた給与計算ソフトをマイナンバー対応のためにアップデートした費用は、原則として修繕費として損金算入できますが、マイナンバーに関係のない新たな機能を追加した場合には、その部分については資産計上する必要があります。
■2.新しくソフトウエアを購入した場合
マイナンバーを管理するためのプログラムや、セキュリティ向上のための暗号化ソフトなどを新たに購入した場合には、資産計上することとなります。ただし、取得価額が10万円未満の場合には損金経理による損金算入ができ、取得価額が20万円未満の場合には一括償却資産として3年間での償却ができます。さらに青色申告である中小企業者に限り取得価額が30万円未満の場合には損金経理による損金算入ができます。(税制改正により平成28年4月1日以降は、従業員が1,000人以上の法人については、適用対象法人から除外されましたので、ご注意下さい。)
■3.新しくパソコンなどを購入した場合
マイナンバーを管理するためのパソコンや、保管するための鍵付きキャビネットの購入、安全管理措置としてパーテーションの設置などを行った場合は、新たな資産の取得となり、資産計上することとなります。ただし、取得価額が一定金額以下であれば、2.と同様の取り扱いをすることができます。
また、パソコンなどをリースした場合は、税務上、賃貸借取引とされるケースと売買取引とされるケースがあります。賃貸借取引であれば、リース料支払の都度、損金算入となりますが、売買取引とされる場合には、資産計上のうえ、減価償却を行う処理が求められます。契約内容を確認したり、リース会社に問い合わせてみましょう。
■4.まとめて請求がきた場合
資産の購入を複数行うと、まとめて業者から請求がくることがあります。このとき、内訳が記載されていれば、資産計上せずに損金算入できることもあります。まとめて請求がきている場合には、きちんと内訳が記載されているか確認しましょう。内訳の記載がない場合には、業者に問い合わせをしてみましょう。
■5.まとめ
ポイントをまとめると次のとおりです。
(1)使用していたソフトウエアのアップデートは、原則として修繕費。
(2)資産の取得となった場合は、金額に応じて損金算入できるか判断する。
(3)一括で請求されたときは、内訳を出してもらい、個別に損金算入の検討を行う。
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