修繕費Q&A 第2回

Q4 地震に備え古い建物を耐震構造にすることにしました。古い建物の補修なので修繕費で処理してよいでしょうか。


A4 耐震構造にするための工事は通常の維持管理のため、又は原状回復のための工事とは言えません。耐震構造工事は、現状の修繕ではなく、将来の地震の備えであること、柱や壁を補強することから建物の価値が増大し、使用期間を延長させていると考えられるため、資本的支出となる可能性が高いと思われます。



Q5 長年使用している設備の大規模修繕を実施しました。業者に確認するも、どの部分が資本的支出に該当するか判断できない、といわれましたが、どのような処理をすればよいでしょうか。


A5 ご質問のように、実際の工事によっては資本的支出か修繕費かはっきりと区別できないケースが多々あります。そのような「資本的支出か修繕費か明確に分けられない」ケースにおいて、下記の基準金額以内の改修・修理の場合は修繕費として処理することができます。

ア)改修・修理の金額が60万円以内の場合

イ)改修・修理に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である  場合


設備A 取得価額1億円(H20.3取得)

    当期首簿価500万円

⇒1,000万円(取得価額の10%)までの修繕・資本的支出区分が不明瞭な改修については修繕費として処理することが可能です。

 注意点として、明らかに資本的支出だと判断される場合や、基準金額(60万円または10%)を超える修繕については、この処理方法は認められません。


Q6 Q5の基準金額を上回るような支出の場合、修繕・資本的支出区分ができないと、全額資本的支出として処理しなければいけないのでしょうか。


A6.Q5でカバーできない多額の改修・修理支出については、最後にもう一点検討余地があります。それは、継続して①その支出金額の30%相当額と,②その修理,改良等をした固定資産の前期末における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とすることができる、という特例です(残額は資本的支出になります)。


以下設例で確認しましょう。


設備A 取得価額1億円(H20.3取得)

    当期首簿価500万円

    改修・修理金額3,000万円

(修繕・資本的支出不明、Q5の基準金額を超えているため、Q5の特例は利用不可)修繕費として計上できる金額

   ①取得価額の10%… 1,000万円

   ②修繕金額の30%… 900万円

   ①>② 900万円まで修繕費として計上

       可能(ただし継続要件あり)

   資本的支出になる金額

     3,000万円-900万円= 2,100万円

塚越税務会計事務所

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