理事に賞与は払えるか！？

Q　当組合は常勤理事に対して毎月15万円を報酬として支給しています。資金繰りが厳しいため、毎月の報酬の増額は難しいのですが、長年当組合に尽力してくれている理事に対し賞与を支給してはどうか、との話が出ました。しかし、理事への報酬は毎月定額でなければいけないと以前指導されたことがあります。理事に賞与を支給する方法はないのでしょうか。

A　理事への報酬は税務上役員報酬として取り扱われるため、原則として毎月定額の報酬でなければ、税務上損金として認められません。しかし、一定の届出を行うことで理事への賞与も損金として認められる場合があります。

１．「事前確定届出給与」という方法

　理事へ賞与を支給するには「事前確定届出給与」という制度を活用します。これは納税地の税務署に対し、「誰に」「いつ」「いくら」支払うことをあらかじめ届け出て、その届け通りに支払うことで、毎月同額以外の給与も損金に算入できる、という制度です。

　この届出の提出期限は、原則として通常総会から1月を経過する日か、期首から4か月を経過する日のいずれ早い日までです。また、この届け通りに支給しなければ税務上損金として認められませんので、その点も十分な注意が必要となります。

２．さいごに

　理事へ賞与を支給する場合には、上記の届出以外にも、総会や理事会等でしかるべき議決や承認を経る必要があります。組合は利害関係者が多くいますので税務関係だけでなく、様々な点に気を配るべきでしょう。

　なお、今回はあくまで毎月の役員報酬の支払いがある常勤理事についての賞与の取扱いを述べたもので、毎月の役員報酬の支払いがない非常勤の理事に対する支給については取り扱いが異なりますので、詳しくは個別に専門家へご相談ください。