修繕費Q&A 第1回
「The time to repair the roof is when the sun is shining.」(ジョン・F・ケネディ)
「雨が降ってから屋根を修理しても遅すぎる。問題点は、手遅れになる前に対処することが大事だ。」という意味です。
いろいろな解釈があるとは思いますが、文面通りに捉えると、設備の改修のタイミングはまさにこの言葉の通りでしょう。
ところで、設備改修のときによく質問されることは、その支出が修繕費(経費)で落とすことができるのか、資本的支出(資産計上)になってしまうのか、という点です。
そこで今回は「修繕費と資本的支出の境目」についてQ&A形式で3つお届けしたいと思います。
Q1.修繕費と資本的支出の会計処理の違い、区分の判断の基本的な考え方を教えてください。
A1.まず、会計処理の違いですが修繕費は改修・修理が完了した事業年度の経費になります。一方で資本的支出は、改修・修理した固定資産の一部とされ、耐用年数に応じて減価償却することになります。したがって、修繕費として処理した方が即時に利益を圧縮できるため、短期的には税金を抑えることができます。
次に修繕費と資本的支出の区分ですが、基本的な考え方として、固定資産の改修・修理等のために支出した金額のうち「その固定資産の価値を高め」、又は「その耐久性を増す」ことに対応する金額が資本的支出となり、それ以外が修繕費となります。
具体的事例はQ2からご説明します。
Q2.エレベーターの改修を300万円かけて行いました。内容は、ワイヤーロープの交換とかご室内の補修です。この改修は修繕費として処理して問題ないですか。
A2.ワイヤーロープや室内の補修は経年劣化による補修・交換であり、原状回復するために行われるものであるため、修繕費として取り扱って問題ありません。
ただし、その改修・修理が経年劣化ではなく、より価値を高めるもの、例えば室内モニターを設置する等の場合は、モニター部分は資本的支出になる場合もあります。
Q3.蛍光灯100本をLEDランプに取り換えました。LEDランプが1本1万円、取付費用が1本500円、合計105万円かかりましたが、修繕費として処理して問題ないですか。なお、天井の照明設備の工事は行いません。
A3.蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えることで、固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増しているとして資本的支出に該当するのではないかとも考えられます。
しかし、蛍光灯は、照明設備がその効用を発揮するための一つの部品であり、かつ、その部品の性能が高まったことをもって、建物附属設備として価値等が高まったとまではいえないと考えられます。したがって、修繕費として処理することが相当だと思われます。
なお、天井のピットに装着された照明設備の工事を伴う交換の場合には、資本的支出とみられる可能性が高いと言われています。
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