組合員に脱退したいと言われたら…
Q.事業協同組合の事務局長をしています。最近、組合員から組合をやめたいとの話をよく聞くようになりました。脱退したくない、と思わせるような「魅力的な組合」にすることが重要だとは思いますが、事務局としては脱退に関する手続きについても一通り知っておきたいので、脱退に関する一連の手続きを教えてください。
A.通常、組合員の脱退に伴う手続きとしては、組合員から脱退する旨の通知を受けること、脱退者との債権債務を整理したうえで、持分払戻しの金額を算定、精算を行うこと、新たな出資金の登記を行うこと、決算関係書類当に脱退に関する情報を記載すること、などがあり、その業務範囲は多岐にわたります。
(1) 脱退には2種類の方法がある
組合には、組合員の資格がある者はいつでも自由に加入でき、脱退も自由にできるという大きな特徴があります。しかし、いつでも自由に脱退できるようにすると組合運営に支障をきたすことから、以下のように脱退を2種類に区分し、それぞれ脱退に関するルールを設けています。
(ア) 自由脱退
加入する場合には理事会等の承認が必要になりますが、脱退には承認等の必要はなく、組合員側からの一方的な意思表示によって脱退することができます。
ただし、年度途中でやめられてしまうと組合運営に支障をきたす可能性があるため①脱退の時期は事業年度末、②原則事業年度末日から90日(定款で定めています)前までに脱退の予告をする必要があります。
(イ) 法定脱退
組合員の資格の喪失、死亡、解散や除名などの場合は、自由脱退とは異なり、その事由が生じた時点で脱退となります。これを法定脱退とよびます。
(2) 持分の払戻しについて
組合員が脱退すると、その組合員の持分を払い戻す必要があります。ここでいう持分とは組合財産を組合員の出資比率で案分した計算上の金額を意味します。
ただし、脱退者の持分を全額払い戻すかどうかは定款で定められており、組合により対応は様々です。
(払戻の代表的な方法)
①出資額を限度として持分を払い戻す(出資額限度)
②その持分の全額を払い戻す(全部払戻)
③当該事業年度末の決算貸借対照表における・・・その出資口数に応じて算出した額を
限度として持分を払い戻す(簿価限度)
まずは、組合の定款を確認して自分の組合の持分の払戻方法が上記3つのうちのどれに当てはまるのか、事前に確認すべきだと思います。
それぞれの方法につき良い面、悪い面色々ありますが、ここでは割愛します。
0コメント