事業利用分量配当の会計・税務上の処理

Q 今期(27年3月決算)初めて利用分量配当を行うことを検討していますが、

  会計上、及び税務上どのような処理を行えばよいか教えてください。




A 利用分量配当金は剰余金の処分を通じて行われるため、株式会社にはない組合独特の制度といえます。さらに剰余金(利益)の処分であるにもかかわらず税務上の損金(経費)になる、という特殊性もあり、有効活用とともに慎重な対応が求められます。


1.組合の処理


ア.会計上の手続き

 利用分量配当は剰余金処分案に計上し、通常総会の承認を受ける必要があります。

 したがって、27年3月期の貸借対照表と損益計算書では利用分量配当に関する会計処理は行いません。


   <記載例>

   剰余金処分案

   …省略

   Ⅱ.剰余金処分額

    1.利益準備金        ×××

    2.教育情報費用繰越金    ×××

    3.特別積立金        ×××

    4.出資配当金        ×××

    5.利用分量配当金    100,000     ×××


イ.税務申告上の手続き

 利用分量配当を損金として処理するには、法人税の申告書上において減額の処理をします。具体的には、申告書別表四「所得の金額の計算に関する明細書」及び別表五(一)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」に記載します。以下では、その代表的な記載方法を紹介します。

2.組合員の処理

 組合員は、組合の総会で承認決議があった日を含む事業年度において仕入割引(仕入のマイナス)を認識することが一般的です。したがって、3月決算の組合員の場合、今回の利用分量配当は翌28年3月期の仕入割引として認識することになります。



3.最後に

 利用分量配当は、その事業から生じた利益を組合員の利用高に応じて組合員に対して返還する制度です。

 したがって、組合員との取引に基づかない利益や剰余金の配当は、利用分量配当とは言えず、税務上の損金にも該当しないことになりますので注意が必要です。

塚越税務会計事務所

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