教育情報費用繰越金とは?
Q 今まで一般事業会社に勤めていましたが、今年から協同組合の経理を担当することになりました。協同組合独特の制度に日々奮闘していますが、特に悩ましいのが教育情報費用繰越金です。この繰越金とはいったいどのような制度で、どのような会計処理が必要なのでしょうか。
A 教育及び情報の提供に関する事業等を行う組合は、その事業の費用に充てるため、毎事業年度の剰余金の20分の1以上を翌事業年度に繰越すことが法定されています(中協法第58条4項)。この繰越金のことを「教育情報費用繰越金」とよびます。
簡単に言うと、教育・情報提供の事業を行う組合は、剰余金が生じた場合、その一定割合を組合員の経済的地位向上のため、教育や情報提供に使いましょう、というものです。
教育情報費用繰越金は、上記の性格上、原則として翌事業年度に教育情報事業を実施して、その費用に充当しなければいけません。ただし、その取崩し時期は法定されているわけではないので、例えば、特別な情報提供事業を企画し、そこで複数年分まとめて取崩すということも認められますし、取崩さずに繰越し(積立て)続ける組合もあります。
1.会計上の取扱い(前期100円を利益処分で繰越し、当期60円を取崩した場合)
2.税務上の取扱い
教育情報費用繰越金の繰越しは、税引後の当期純利益を基準にして5%以上を繰越すものであり、税務上は課税済所得の処分となるため損金にも益金にも該当しません。したがって、剰余金処分で行われる教育情報費用繰越金の繰越しは、税務上の処理は不要です。
一方、取崩しの場合は、会計上の教育情報事業収益に計上されますので、課税済所得への二重課税を防ぐため、下記の通りの法人税申告書別表四での減算処理が必要となります。
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