帳簿を提出できない者は死刑①
17世紀のフランス、ルイ14世は商取引について、不正をなくし信用を確保するために、会計についての法令を制定しました。これが会計に関する世界で初めての法令です。
この法令では、帳簿の作成が義務づけられており、取引全体を記帳することや財産目録を作成することなどが厳しく規定されていました。そして、規定されている要件をすべて満たした帳簿の提出も義務付けていました。これを提出できずに倒産した場合は、『偽装破産』とみなされ、死刑が規定されていたようです。恐ろしい時代ですね。ですがその反面、信用性を確保するためには、正確な帳簿の作成が大切だという事がわかります。現在においてもそれは変わりません。どんな時でも真実を語ってくれるのは帳簿書類です。
そこで今回は『帳簿書類』についてQ&A形式でお届けしたいと思います。基本的なことですが、もう一度確認をしておきましょう。
Q1.『帳簿書類』という言葉をよく聞きますが、帳簿書類とは具体的にどういった資料ですか。
A1.
『帳簿書類』とは、帳簿と書類をまとめたもので、それぞれ別の資料を指しています。帳簿には、総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあり、書類には、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。
Q2.帳簿書類の保存期間を教えてください。
A2.
税法における帳簿書類の保存については、会社と個人事業主で少し違いがあります。まず会社からお話しします。
会社は、帳簿書類を、その事業年度の確定申告の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません。例えば、平成29年3月31日の決算の会社であれば、提出期限が平成29年5月31日ですので、翌日の6月1日から7年間保存することになります。
会社が帳簿書類を保存する場合、特に気を付けなければならないのが青色申告法人で、欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存期間が9年に延長になることです。これは欠損金の繰越期間が9年のため、証拠書類である帳簿書類についても同期間の保存が必要だからです。(平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生じる事業年度においては、保存期間が10年に延長されます。)
次に、個人事業主の保存期間ですが、会社と同じで原則的には7年間の保存が義務付けられていますが、請求書の控えや契約書などの書類については5年間の保存で認められているものもあります。
Q3.帳簿書類の収納場所が手狭になってきたので整理をしようと考えています。7年が経過した帳簿書類は廃棄をしても問題ありませんか。
A3.
商法や会社法では、税法とは別に保存期間を10年間と定めています。税法よりも保存期間が長いことから、これらの法律が優先的に適用されることになりますが、すべての帳簿書類が対象というわけではありません。
例えば、商法で規定されているものは会計帳簿及び貸借対照表と営業に関する重要な資料です。これらに該当するものについては10年間の保存が優先して適用され、該当していないものについては税法の期間が適用されます。
経理の方から「どの書類を廃棄したらいいかわからない。」との声をよくお聞きしますが、10年を経過した古い帳簿書類については廃棄をしても問題ないでしょう。
しかし、保存期間が定められていたとしても、貸借対照表、損益計算書のような重要な帳簿書類については、廃棄せずに永久に保存しておくことが望ましいでしょう。
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