消費税処理の誤りやすい事例①

 今回は消費税の処理についてです。法人税は会計を基礎としているため、簿記の知識が役立ちますが、消費税は殆ど簿記の知識を必要としません。むしろ、会計処理にとらわれると思わぬ落とし穴がありますので、消費税のことを考えるときは頭を切り替えましょう。



Q1.印刷物を一時的に保管する目的で土地を2週間ほど借りました。土地の賃借料なので、非課税として処理しました。


A1.土地の賃借は原則として非課税ですが、賃借期間が1ヶ月未満の場合には、課税仕入れとして処理します。



Q2.会社の近くに金券ショップがあるので、そこで印紙を購入しています。印紙は税金なので、租税公課勘定に、消費税は対象外として処理しています。


A2.印紙を郵便局やコンビニなどで購入した場合には、非課税となりますが、金券ショップ等で購入した場合には、課税仕入れとして処理します。

 


Q3.非課税限度額を超える通勤手当を支給しています。非課税限度額を超えた部分は給与として課税していることから、消費税についても給与と同様に消費税は対象外として処理しています。


A3.通勤手当については、所得税法上の非課税限度額に関係なく通常必要と認められる金額であれば、その全額を課税仕入れとして処理します。



Q4.中古車の購入にあたり、自動車税の精算金を支払いました。本体は課税仕入れとしましたが、自動車税の精算金は租税公課、消費税は対象外として処理しました。


A4.いわゆる租税公課は消費税の課税対象外ですが、質問のケースは、租税公課そのものではなく利益の調整にあたり、売買価格の一部として扱われます。よって、名目に惑わされず、本体と自動車税精算金のいずれも課税仕入れとして処理します。



Q5.定期預金の利息が500円入金され、次のように仕訳を起こし、受取利息は非課税売上としました。

          定期預金 500円 / 受取利息 500円


A5.預金の利息は源泉税控除後の金額が入金されます。非課税売上となるのは、源泉税控除前となりますので、正しくは次のように仕訳します。

            預金   500円  / 受取利息 590円※

            租税公課  90円

                      ※500円÷(1-15.315%)=590円


Q6.決算申告をしたところ、予定申告により納めた税金の一部が還付加算金とともに入金されました。この還付加算金は利息と同じ性格ということで、非課税売上としました。


A6.還付加算金は、利息計算と同様の方法により計算されていますが、利息ではなく税金として扱われるため、消費税の課税対象外となります。

塚越税務会計事務所

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