交際費等Q&A 第1回
「 繁盛するに従って、ますます倹約せよ 」
この言葉は江戸時代末期の蘭学者である渡辺崋山の「商人八訓」の中の一訓です。
「商人八訓」とは、商いの精神を要約したもので、この言葉は、「商売が軌道に乗っても無駄づかいを抑制するように」という教訓だと解釈されています。法人税にも無駄づかいを抑制するために設けられた「交際費等の損金不算入」という制度があります。
そこで今回は「交際費等の損金不算入」制度についてQ&A形式でお届けしたいと思います。
Q1 法人税において規定されている「交際費等の損金不算入」制度とはどのような制度ですか?
A1 交際費等の損金不算入制度は、原則として、法人の支出した交際費等の額を損金の額に算入することを認めないという制度です。
これは、交際費等を減らして企業の内部留保を高める、つまり無駄遣いを抑制し、企業の体質をより良くしていく狙いがあるといわれています。
一方で、お客様と良好な関係を築くなどのための接待飲食費などは、企業の経済活動の活性化を図るためにある程度必要です。そのため、同制度では、交際費に該当する場合においても、一定の金額を損金に算入することは認められています。
Q2 交際費等の損金不算入となる金額はどのように計算したらよいのでしょうか?
A2 交際費等の損金不算入額の計算方法は法人の規模によって違ってきます。
【大法人・中小法人とは】
大法人は交際費等のうち接待飲食費の50%を超える金額が損金不算入額となります。逆に言うと、接待飲食費の50%を損金算入できるということです。
損金不算入額を具体例で確認してみましょう。
大法人が支出した交際費等の金額が2,000万円(うち接待飲食費の金額が1,500万円)の場合の交際費等の損金不算入額は
2,000万円(支出交際費)-1,500万円(接待飲食費)×50%=1,250万円となります。
一方、中小法人は、交際費等の金額によって取り扱いが異なります。
1.交際費等の金額が年800万円以下の場合
損金不算入額はゼロ。つまり、交際費等の全額を損金算入できます。
2.交際費等の金額が年800万円を超える場合
次のいずれか大きい金額を損金算入できます。
・年800万円
・接待飲食費の50%
つまり、中小法人は接待飲食費が1,600万円を超えない限り年800万円を損金算入できます。
ただし、接待飲食費の50%を損金算入するためには、一定の要件を満たした場合に限ります。
0コメント